MAAIの考え方
MAAI(Modes of Approach to AI/マアイ)は、AIの能力や使いこなしの上手さではなく、「AIをどう使うか・どう接するか」のクセを4つの軸で整理する診断です。タイプに優劣はつけず、算出方法はこのページですべて公開します。
1. MAAIが測っているもの
MAAI(Modes of Approach to AI/マアイ)が測っているのは、AIを使いこなす力ではなく、AIとの距離の取り方です。どこまで任せるか、何回やり取りするか、自分で考える前に開くか、道具として扱うか相手として扱うか。同じツールを使っていても、この4つは人によってはっきり違います。
「マアイ」という読みは、日本語の「間合い」から取りました。AIとの間合いをどう取っているか、という診断です。
スコアは上手・下手ではありません。W(丸ごと任せる)がP(部分だけ任せる)より進んでいる、ということはありません。速く形にしたい場面ではWが効きますし、あとで自分で説明できる状態にしたい場面ではPが効きます。どちらに寄っているかが分かれば、寄っていないほうを意識して足せる、というだけのことです。
2. 結果から何が分かるのか
結果は、4文字のタイプコードと、4軸それぞれの strength(真ん中からの寄り)です。読み取れることは3つあります。
自分の使い方の「向き」が言葉になる
AIの使い方は、ふだん人と比べる機会がありません。同僚が1つの作業をどう切り分けて渡しているかは、見えないからです。4軸に分けると、自分がどこに寄っているかが初めて相対的に見えます。
うまくいかない原因の見当がつく
たとえば「速いのに手戻りが多い」という悩みは、①を丸ごと任せ(W)、②を一発で終える(O)組み合わせで起こりやすいものです。原因が「AIが悪い」でも「自分の能力」でもなく、渡し方の寄りにあると分かれば、直す場所がはっきりします。詳細結果に出る注意サインは、この「偏りが出やすい組み合わせ」を示しています。
チームで話すときの共通語になる
AIの使い方をめぐる議論は「使うべきか/使うべきでないか」になりがちですが、実際に必要なのは「この作業はPで、この作業はWで」という切り分けです。タイプコードがあると、その話ができます。
読み方のコツも2つ。
- strength が20%未満の軸は、場面で切り替えている軸です。 どちらの文字になっていても、あまり意味はありません。
- 主軸(いちばん強く出ている軸)から読んでください。 4軸を平等に読むより、主軸ひとつを押さえるほうが役に立ちます。
3. なぜこの4軸なのか
AIの使い方は人によってばらばらですが、違いが表に出る場面は、だいたい次の4つに絞れます。
- 仕事を渡すとき、どこまで渡すか(任せる範囲)
- 答えが返ってきたあと、そこで止めるか、やり取りを続けるか(やり取り)
- そもそも、いつAIを開くか(着手の順番)
- 返ってきた答えを、道具の出力として見るか、相手の意見として見るか(AIとの関係)
この4つを選んだのは、どれも次の2つを満たすからです。行動として外から見えることと、速さ・自分の中に残るもの・答えの確かめ方といった結果の違いにつながること。
逆に、軸にしなかったものもあります。「AIを信頼しているか」「AIが怖いか」といった気持ちの強さは、行動に出にくく、人によって「信頼」の意味も違うので入れていません。「どのツールを使っているか」も、半年で変わってしまうので入れていません。
どの軸も、片側が正解ということはありません。
4. 4軸の定義
| 軸 | 極1(スコア100寄り) | 極2(スコア0寄り) | この軸で見ていること |
|---|---|---|---|
| ① 任せる範囲 | Whole(丸ごと) | Part(部分) | 作業を一式で渡すか、切り分けて一部だけ頼むか。渡すのは作業の大きさだけでなく、進めてよいかの判断をどこまで預けるかも含みます。範囲が広いほど速く形になり、狭いほど主導権と理解が手元に残ります。 |
| ② やり取り | One-shot(一発) | Converse(対話) | 条件をまとめて1回で受け取るか、返事を見ながら往復して詰めるか。時間の使い方と、答えの磨き方が変わります。 |
| ③ 着手の順番 | AI-first(まずAI) | Self-first(まず自分) | 考える前にAIを開くか、自分の考えを持ってから使うか。動き出しの速さと、最初に見た案に引っぱられやすいかどうかに関わります。 |
| ④ AIとの関係 | Tool(道具) | Buddy(相棒) | 用件と結果だけでやり取りするか、人と話すように意見を聞くか。答えとの距離の取り方、確かめ方の違いにつながります。 |
注意サイン(48問版の詳細結果に出ます)は、AIの使い方と学習効果を調べた研究をもとに、偏りが出やすい組み合わせを示すものです。能力の評価ではありません。
5. 設問の作り方
- 設問は全48問で、各軸12問(極1方向の正転6問・極2方向の逆転6問)です。
- 24問版は、各軸から正転3問・逆転3問を毎回ランダムに選び、同じ軸の設問が続かないように並べます。出題した設問の番号は、回答と一緒にお使いのブラウザに保存します。
逆転項目とは、「そう思う」と答えるほど反対側の極に寄る設問のことです。①任せる範囲の軸なら、「AIには作業を一式まとめて渡すことが多い」はW側、「AIに頼むときは、工程を切り分けて一部だけ渡す」はP側に数えます。両方向の設問を同じ数だけ入れているのは、何を聞かれても「そう思う」と答えやすい方の回答が、片方の極に偏らないようにするためです。
- どの設問だけを読んでもAIについての質問だと分かるよう、すべての設問に「AI」を入れています。
- AIをあまり使ったことがない方には、「使うとしたら」で答えていただくようお願いしています。
- 冒頭の「AIをどのくらい使っていますか」は採点に使いません。
6. スコアの計算式
回答は7段階で、次のように点数に置き換えます。
| とてもそう思う | そう思う | ややそう思う | どちらともいえない | あまりそう思わない | そう思わない | まったくそう思わない |
|---|---|---|---|---|---|---|
| +3 | +2 | +1 | 0 | −1 | −2 | −3 |
1. 逆転項目は符号を反転する 2. 軸ごとに合計する(24問版は各軸6問なので −18〜+18、48問版は −36〜+36) 3. raw = (合計 + 最大値) ÷ (最大値 × 2) × 100 … 0〜100、極1寄りが100 4. strength = |raw − 50| × 2 … 表示用。真ん中0%・端100% 5. 4文字コード:raw が50以上なら極1(W/O/A/T)、50未満なら極2(P/C/S/B)
例:24問版で①の合計が +14 のとき、raw=(14+18)÷36×100≒89、strength=|89−50|×2=78%。W寄り(はっきり)になります。
結果ページのURLにある ?s=89-… は、この raw を①〜④の順に並べたものです。URLだけで結果を再現できるので、同じURLを開けば同じ結果が表示されます。
7. 強さの読み方と、主軸・揺れ軸
| strength | 扱い | 表示 |
|---|---|---|
| 0〜19% | 中間(場面で切り替える) | 中間 |
| 20〜59% | その極に寄っている | やや |
| 60〜100% | その極にはっきり寄っている | はっきり |
- 主軸:strength がいちばん大きい軸。同点のときは①→②→③→④の順で先の軸。
- 揺れ軸:主軸以外で strength がいちばん小さい軸。
- 全軸はっきり型:揺れ軸でも strength が40%以上あるとき。
- 全軸バランス型:主軸でも strength が20%未満のとき。
8. タイプ名の作り方
16タイプには、それぞれ独立した名前が付いています。①②で4つのグループに分かれ、③④でスタンスが決まる、という見方をします。表示は日本語名 → キャッチ → 英語名(読み)の順です。
| グループ(①×②) | 名前 | スタンス(③×④) | 名前 |
|---|---|---|---|
| W × O | 一任グループ Entrusting | A × T | 即応 |
| W × C | 伴走グループ Steering | A × B | 発散 |
| P × O | 分担グループ Dividing | S × T | 設計 |
| P × C | 仕上グループ Refining | S × B | 省察 |
例:WOAT = 始動型 / 考えるより先に、動き出す。/ Igniter(イグナイター)。一任グループ(W×O)で、スタンスは即応(A×T)です。
9. 24問版と48問版の違い
MAAIは全48問が本体で、24問版はそこから各軸6問ずつを抜き出した短縮版です。
問題数を増やすと、スコアの信頼性——同じ人がもう一度受けたときに同じ結果が出る度合い——が上がります。どれくらい上がるかは、スピアマン・ブラウンの公式で見積もれます。
ρ' = kρ / (1 + (k − 1)ρ)
ρ はもとの信頼性、k は問題数の倍率です。1軸6問から12問にすると k = 2。もとの信頼性が 0.65 なら、2 × 0.65 ÷ (1 + 0.65) ≈ 0.79 に上がる計算になります。
また、スコアの誤差は問題数の平方根に反比例します。24問から48問にすると、スコアの揺れは 1/√2 ≈ 0.71、つまり約7割に縮みます。
実用上いちばん効くのは、strength が小さい軸の判定です。20%未満の軸は、24問版では受けるたびに文字が入れ替わることがあります。48問版ではそこが安定します。48問版は5つ目の軸を足すものではなく、同じ4文字をより確かに出すためのものです。
なお、ここで上がるのは信頼性であって、妥当性(測りたいものが本当に測れているか)ではありません。両者の違いは 測れているもの、測れていないもの で説明しています。
10. この診断でできないこと
- 妥当性の検証はしていません。心理検査のような統計的な検証(信頼性・妥当性の確認)は行っていません。自分のクセを振り返るきっかけとしてお使いください。
- 自己申告です。回答は「自分がどう思っているか」にもとづくので、実際の行動とずれることがあります。その日の仕事や気分でも結果は変わります。
- 採用の合否判断や人事評価に用いることは推奨していません。能力や適性を測るものではなく、タイプに優劣もありません。チーム内の相互理解や、話の糸口としてお使いください。
- AIを使う力やスキルは測りません。上手・下手ではなく、使い方の向きを見ています。
11. 回答データの扱い
MAAIでは、集計のために回答をサーバーに保存しています。「このタイプは全体の◯%です」という割合を出すためです。
保存するもの
- 軸ごとの合計点と、タイプの4文字
- 出題した設問の番号と、それぞれの回答
- 冒頭の「AIをどのくらい使っていますか」の回答(採点には使いませんが、集計では使います)
- 回答にかかったおおよその時間
- 回答した日付(時刻は持ちません)
- 24問版か48問版かの区別
- 設問セットの版(設問を入れ替えたときに、どの版に答えたかを見分けるためのものです)
- 回答の質の判定の結果(集計に入れるかどうかの目印です。本人にはお知らせしません)
保存しないもの
- 氏名・メールアドレスなど、あなたを特定できる情報
- IPアドレス
- 年齢・性別・職業などの属性(そもそもお聞きしていません)
- 端末を識別する番号
同じ方が2回受けても、別々の回答として数えます。あとから「これは誰の回答か」をたどることはできません。
何に使うか
- タイプごとの割合の表示。回答が一定数(200件)たまるまでは表示しません。数が少ないうちの割合は、当てになりません。
- 設問の見直し。どの設問にも同じ答えばかりが集まっている、といった偏りを見つけて差し替えます。
- 傾向の分析。AIを使って分析することがあります。
明らかにいいかげんな回答は、集計から除きます。すべて同じ選択肢を選び続けたもの、両端を交互に選んだもの、人が設問を読める速さを下回っているものなどは、自動で見つけて割合の計算から外しています。ひとつの条件だけでは判断しません。複数に当てはまったときにだけ、集計から外します。判定の結果をあなたにお知らせすることはありません。結果はいつもどおり表示されます。基準の詳しい説明は測れているもの、測れていないものにあります。
保存されたくない場合。診断のページに「回答を集計に使う」というスイッチがあります。はじめからオンになっていますが、オフにすれば送信しません。オフでも診断は最後まで受けられますし、表示される結果の内容も変わりません。
あなたの結果そのものについて。結果はお使いのブラウザ(localStorage)と、結果ページのURLの中に持っています。同じURLを開けば同じ結果が表示されます。どのページを見たかはアクセス解析(Googleアナリティクス)に記録されますが、結果URLのスコアの部分(?s=…)は、記録される前にURLから取り除いています。
12. 相性のルール
相性は「補い合うこと」と「テンポが合うこと」の両方を見ています。①任せる範囲と③着手の順番は逆のほうが役割を分けやすく、②やり取りと④AIとの関係は同じのほうが一緒に進めやすい、という考え方です。
| 記号 | 条件 | 件数 |
|---|---|---|
| ◎ | ①逆・②同・③逆・④同の4条件をすべて満たす | 1 |
| ○ | 4条件のうち3つを満たす相手から、①逆・③逆の両方を満たすもの | 2 |
| △ | ①③が同じで、②④が逆(役割が重なり、テンポと温度が合わない) | 1 |
16×16の一覧は相性表にあります。△は「組んではいけない」ではなく、役割を先に分けておくと回りやすい組み合わせです。
13. 先行事例との関係
MBTI・16Personalities・ビッグファイブといった既存の性格検査が測るのは「その人がどういう人か」です。MAAIが測るのは「AIという特定の相手に対して、どう振る舞うか」で、対象がひとつに絞られている点が違います。そのぶん、結果は数年で変わっていくはずです。AIの側が変われば、間合いの取り方も変わります。
AIとの関わり方を分類しようという試みは、研究の側では「AIリテラシー」や「人間とAIの協働(human-AI collaboration)」といった枠組みで進んでいます。ただ、一般の方が自分で受けられる形で公開されている診断は、私が探した範囲では見当たりませんでした。MAAIは、そこを埋めるつもりで作っています。
4軸の選び方や、逆転項目を同数入れるといった作り方は、性格検査の標準的なやり方にならっています。ただし、統計的な検証は行っていません(→「この診断でできないこと」)。ほかの診断との違いや、検証というものが実際に何をするのかは、測れているもの、測れていないもの にまとめています。