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将棋盤の世界 ── 木の厚みは、なぜ値段になるのか

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最初に結論:100均の将棋セットや、安価な盤で構いません

駒と同じです。最初の盤は、100円ショップの将棋セットや、巻いて片付けられるプラスチック製の盤で十分です。数百円から千円台で買えます。

理由も同じで、汚れに強く、場所を取らず、盤面が平らだからです。

折りたたみの木製盤は避けたほうが無難です。真ん中の折り目に駒が引っかかります。使わないときは立てて置けるので収納は楽なのですが、指していて気持ちよくありません。

それでも「木の盤がほしい」と思ったときに、この記事が役に立ちます。

盤の値段は「厚み」で決まる

将棋盤の値段を左右する要素は3つです。材・厚み・木目。 なかでも分かりやすいのが厚みです。

盤の厚みは寸(すん)で数えます。

1寸 = 3.03cm

卓上に置く盤は1寸〜2寸(3〜6cm)が普通です。ここから厚くなると、脚付き盤の領域に入ります。テレビのタイトル戦で棋士が向かい合っている、あの脚のついた盤です。厚いものは6寸(18cm)を超え、30cmに達するものもあります。

なぜ厚さに意味があるのか。音です。

駒を指したときの「パチン」という音は、盤が共鳴して鳴っています。厚い盤ほど低く響く。将棋盤は楽器に近いところがあります。よい盤は「高く澄んだ音で、返りがある」と表現されます。

ちなみに将棋盤の標準サイズは36cm × 33cm、脚の高さは約10.6cmです。正方形ではなく、わずかに縦長になっています。

材の話:榧(かや)が最高とされる理由

将棋盤の材は、上から本榧(ほんかや)→ 桂(かつら)→ 銀杏(いちょう)→ 新榧(しんかや)という順で語られるのが一般的です。

本榧が別格とされるのは、次の点によります。

  • 色。 淡い黄色から山吹色。使い込むと蜂蜜のような飴色に変わります。
  • 木目。 年輪が単純な縞にならず、揺れて複雑な模様を作ります。これが本榧の魅力とされています。
  • 弾力。 駒を指したときに適度に沈み、音が返ってきます。
  • 香り。 ここが他の材と決定的に違う点です。新しい本榧の盤は、ふたを開けると上品な香りがします。 長く使うと薄れていきます。

榧は成長が非常に遅い木です。盤に使えるだけの太さになるまで300〜400年かかると言われます。だから高い。それだけの話です。

新榧は名前が紛らわしいのですが、榧ではありません。スプルースなどの別の木です。年輪が均等でくっきりした縦縞になるので、木目が整然としていたら新榧、揺れていたら本榧と見分けられます。色も新榧のほうが白っぽく、着色されているものもあります。実用としては十分で、価格は本榧よりずっと手頃です。

桂は茶褐色からグレーがかった色で、年輪は比較的細かく半円状。50〜60年前の古い盤が出てきた場合、本榧か桂である可能性が高いので、見分けが必要になります。

木目:柾目と板目

盤の表面に出る木目は、木のどこをどう切り出したかで変わります。

  • 柾目(まさめ) — 縦にまっすぐ縞が通っているもの。上位とされます。
  • 板目(いため) — 山形や波形の模様が出るもの。

さらに、盤の天面・側面・木口すべてで柾目が揃ったものは天地柾(てんちまさ)と呼ばれ、最上級の扱いになります。1本の木から取れる数がごく限られるためです。

等級は特上・上・中・並で表示されるのが一般的です。特上は節がなく木目が細かいもの、並は木目の乱れや傷みが見えるもの、という区別です。

ふるさと納税で手に入る将棋盤

将棋盤は、実はふるさと納税の返礼品としてかなりの種類が出ています。 木工が地場産業の自治体が扱っているためです。

調査時点で、次のような自治体が将棋盤を用意していました。

自治体主な内容
宮崎県日向市本榧の卓上盤(2寸)。日向榧は最高級とされる産地
宮崎県小林市榧の卓上盤(1.8〜2寸)
宮崎県綾町榧の卓上盤(2寸)
大分県大分市本榧の卓上盤・脚付き盤
千葉県山武市榧の卓上盤(1寸・2寸)
大阪府松原市・東大阪市本榧の卓上盤(2寸)
茨城県神栖市新榧の卓上盤・脚付き盤(厚みの選択肢が広い)

寄付金額は、卓上盤で9万円台から、脚付きの厚い盤になると60万円を超えるものまでありました。

榧の産地として名高いのは宮崎県です。「日向榧」は将棋盤・碁盤の材として最高級とされてきました。宮崎の自治体が榧の盤を返礼品にしているのは、そういう背景があります。

寄付金額・在庫・取り扱いは頻繁に変わります。上の表は記事執筆時点のもので、申し込む前に各自治体のページで最新情報をご確認ください。 また、ふるさと納税の控除には年収などに応じた上限があります。上限額を先に確認してから申し込んでください。

盤と駒、どちらにお金をかけるか

よく聞かれる質問です。

私の考えは、駒が先です。

理由は、触っている時間が長いのは駒だからです。盤は下に敷いてあるもので、指で触れるのは駒のほうです。駒の重み、指したときの感触、指先に伝わる文字の盛り上がり。この体験は駒でしか得られません。

また、盤は場所を取ります。 脚付き盤は、置き場所を決めてから買わないと後悔します。卓上盤でも2寸あればそれなりの重さです。

順番としては、①100均の将棋セットや安価なもので始める → ②木の駒を買う → ③卓上の木の盤を買う → ④気が済まなければ脚付き盤、という流れがおすすめです。

まとめ

  • 最初の盤は100均の将棋セットや安価なもので十分。折りたたみ盤は駒が傾くので避ける。
  • 盤の厚みは寸で数える。1寸 = 3.03cm。厚いほど音が低く響く。
  • 材は本榧が最高とされる。色・木目・弾力・香りが理由。盤に使える太さまで300〜400年。
  • 新榧は榧ではありません。 木目が整然としていたら新榧、揺れていたら本榧。
  • 木目は柾目が上位。天地柾は最上級。等級は特上・上・中・並。
  • ふるさと納税では宮崎県(日向市・小林市・綾町)などが榧の盤を扱っています。
  • お金をかけるなら駒が先。 触っている時間が長いのは駒です。

参考