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相手が定跡どおりに指してこないとき

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書を1冊読んで、手順を覚えて、意気込んで対局に臨む。ところが3手目か5手目で相手が違う手を指してきて、そこから先はもう何もわからない。

将棋を覚えた人がほぼ全員通る道です。そして多くの人が、ここで「定跡なんて役に立たない」と感じてやめてしまいます。

結論から言うと、定跡どおりに進まないのは当たり前です。むしろそれが普通で、定跡書はそのことを前提に書かれています。問題は定跡ではなく、定跡の使い方のほうにあります。

定跡は手順ではなく、理由の集まり

定跡書に並んでいる指し手の列は、覚えるべき答えではありません。その手を選んだ理由の記録です。

たとえば「▲7六歩」という手には、角の道を開けるという理由があります。「▲6八銀」には、7七の地点に銀を上がって角の頭を守る準備という理由があります。手順そのものではなく、この理由のほうが本体です。

理由がわかっていれば、相手が違う手を指してきても対応できます。「角の道を開ける」という目的は相手の手に関係なく残るからです。逆に手順だけを丸暗記していると、一手ずれた瞬間に何も残りません。

外れたときの3つの質問

相手が定跡から外れた手を指してきたら、次の3つを順番に確認してください。慣れると数秒でできるようになります。

1. その手で、何か取られるものはあるか

まず確認するのはこれです。相手の手が自分のどの駒を狙っているか。

狙われている駒があるなら、逃げるか、守るか、それより価値のある手を指すかを選びます。何も狙われていないなら、次に進みます。

2. その手で、相手の陣形に隙ができたか

定跡から外れる手の多くは、本来指すべき手を指さなかった結果です。つまりどこかが手薄になっています。

よくあるのは、玉を囲わずに攻めてくるパターンです。相手がのまま攻めてきたなら、それは攻めが成立する前に自分が反撃できるということです。慌てて受けるのではなく、自分の攻めが間に合うかを数えます。

3. 何もなければ、自分の予定を進める

1と2のどちらでもないなら、相手の手は自分に影響していません。そのまま自分の予定どおりに指してください。

これが最も重要な結論です。相手が変な手を指したからといって、こちらまで方針を変える必要はありません。を組む予定だったなら組む。銀を繰り出す予定だったなら繰り出す。

初心者が最も損をするのは、相手の手に反応しすぎて自分の形を崩すことです。

「変な手」の正体

級位者どうしの対局で相手が定跡を外れる理由は、だいたい次のどれかです。

そもそも定跡を知らない — 最も多いパターンです。この場合、相手の手には一貫した狙いがありません。こちらが定跡どおりに囲って攻めれば、自然に良くなります。

別の戦法を選んでいる — 相手が四間飛車を目指しているのに、こちらがの定跡を読んでいた、という食い違いです。これは「外れた」のではなく、そもそも別の局面です。当サイトの定跡ガイドで該当する戦法を探してください。

わざと外している — 定跡を避けて力戦に持ち込む狙いです。プロでも使われる作戦で、悪い手とは限りません。ただし級位者どうしなら、外した側も同じくらい未知の局面にいます。

覚え方を変える

定跡を覚えるとき、手順を追うだけでなく、1手ごとに「なぜこの手か」を言葉にしてみてください。

説明できない手があったら、そこが暗記になっている部分です。そこを調べるだけで、定跡書の価値は何倍にもなります。

当サイトの定跡ガイドでは、各手順に理由の解説を付けています。盤面を1手ずつ進めながら、その手が何を狙っているかを確認できます。

まとめ

  • 定跡どおりに進まないのは普通のこと。定跡書もそれを前提にしている
  • 定跡は手順ではなく、手を選んだ理由の集まり
  • 外れたら「取られるものはあるか」「相手に隙ができたか」を確認し、どちらでもなければ自分の予定を進める
  • 相手の手に反応しすぎて自分の形を崩すのが、最も損をするパターン
  • 覚えるときは1手ごとに理由を言葉にする