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序盤に何をしているのか(囲う・攻めの形・動く)

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初手を指したあと、しばらく駒がぶつからない時間が続きます。強い人はこの間に、何を考えて駒を動かしているのでしょうか。

序盤の手は、ばらばらに見えて、実は3つの仕事に分けられます。この記事では、その3つの仕事と順番を、1つの戦法を例にして見ていきます。

序盤の仕事は3つ

  1. 玉を囲う … 玉を戦いの場所から離し、金や銀で守る
  2. 攻めの形を作る … 攻めに使う駒を、働く場所へ出しておく
  3. 動く … 準備ができたら、駒をぶつけて戦いを始める

将棋ルール.com の「将棋の序盤の戦い方」でも、攻めの準備と、玉を守るためのを作り、「囲いと攻める準備が整ったら、攻めていきます」と説明されています。

この記事では、この3つを「囲う → 攻めの形 → 動く」の順に並べます。ただし、1手ずつきれいに分かれるわけではありません。あとで見るように、囲いの途中に攻めの形に関わる手が入ることもあります。絶対に守りたいのは、「動く」を最後にすることです。

ここからは、四間飛車(しけんびしゃ)との組み合わせを例にします。四間飛車は、先手なら飛車を6筋へ動かして戦うの戦法です。Wikipedia の「四間飛車」の項目では、振り飛車の中でいちばん一般的な戦法で、玉は美濃囲いに組むのが一般的とされています。

1. 玉を囲う

下の盤は、美濃囲いを組む手順です。定跡ガイドの美濃囲いのページと同じ13手で、後手の手も入っています。

美濃囲いの手順(13手)。「次へ」で1手ずつ進みます

3手目の▲6八飛が、四間飛車の「飛車を振る」手です。これは攻めの形に関わる手ですが、囲いのための手でもあります。飛車がいた2八が空くので、そこへ玉を運べるからです。そこから玉を4八、3八、2八と移し、右の銀を3八へ、左の金を5八へ上げて完成です。

将棋ルール.com の「将棋の序盤の戦い方」では、囲いは玉と飛車を必ず遠ざけて作る、と説明されています。飛車が玉の近くにいると、飛車が力を発揮しにくいうえに、玉と飛車を同時にねらわれてしまうからです。美濃囲いは、飛車を左へ、玉を右へ分けて置く囲いです。

Wikipedia の「美濃囲い」の項目によると、美濃囲いは構えが低く、横からの攻めに強い囲いです。同じページには、端からの攻めや上からの攻めには弱いことも書かれています。

なぜ、囲う前に動いてはいけないのか

玉を最初の位置から動かさないままの状態を、といいます。Wikipedia の「居玉」の項目では、居玉は一般的に悪い形とされ、角による頓死(うっかり詰まされること)や王手飛車の危険が高いと説明されています。王手飛車とは、王手と飛車取りを1手で同時にかけられることです。

下の図は、その項目で紹介されている形を、玉と飛車と角だけにしたものです。四間飛車の例とは別の、飛車を最初の2筋のまま使うの将棋の場面ですが、囲う前に動くと何が起きるかが、いちばんわかりやすい形です。

盤の右下の一部(5筋〜1筋、四段〜九段)。先手は居玉のまま、飛車を2四まで進めています

後手が1五に角を打った局面。塗られているのは角が動けるマスです。枠のついた2四の飛車と5九の玉に、同時に角が届いています。

玉と角の間(2六・3七・4八)には駒がありません。後手が1五に角を打つと、玉への王手と、飛車取りが同時にかかります。先手は王手を防がなければならないので、次の手で飛車を取られてしまいます。

玉を囲いに入れて、この斜めの線から外しておけば、同じ角打ちは王手になりません。戦いが始まると、駒の取り合いで相手の手に駒が渡り、いつどこに打たれるかわからなくなります。だから、駒をぶつける前に玉を囲っておくのです。

2. 攻めの形を作る

囲いができたら、攻めに使う駒を働く場所へ出していきます。将棋ルール.com の「将棋の序盤の戦い方」では、「攻めは飛角銀桂」という言葉とともに、飛車と角だけでなく、銀や桂馬、歩も攻めに使うと説明されています。

下の盤は、Wikipedia の「四間飛車」の項目に載っている、四間飛車の駒組みの例の先手の配置です。美濃囲いの形はそのままに、角が7七へ、左の銀が6七へ上がり、6筋と5筋の歩も前へ出ています。右端の1筋の歩も1つ突いてあります。これは攻めではなく、玉の逃げ道を作る手です。将棋ルール.com の「美濃囲いの手順と組み方のポイント」でも、美濃囲いを組んだら端の歩を突いて逃げ道を作っておくことがすすめられています。

四間飛車の駒組みの例(先手の駒だけ)。枠のついたマスが、美濃囲いの完成形から動かした駒です

美濃囲いのあとに動かした駒

ここで大事なのは、右側の囲い(玉・銀・金)と、左側の攻めの駒(飛車・角・銀)が、はっきり分かれていることです。攻めの形を作る手は、囲いを崩さない場所で指します。

3. 動く

囲いと攻めの形がそろったら、いよいよ駒をぶつけて戦いを始めます。将棋ルール.com の「将棋の序盤の戦い方」では、囲いと攻める準備が整ったら攻めていき、相手の攻め方や守り方も予測して、前もって対策しておくことが大切だと説明されています。

どこで、どの駒から動くのかは、相手がどんな形に組んでいるかによって変わります。この「相手の形に合わせた、戦いの始め方と進め方」を手順にまとめたものがです。ここから先は、定跡を覚える段階です。

戦法をもっと詳しく知りたくなったら

この記事で例にした四間飛車と美濃囲いは、定跡ガイドで1手ずつ盤で確認できます。

・先手四間飛車(同じサイトの「将棋定跡ガイド」のページです。画面が暗い配色に変わります)
・美濃囲い(同じサイトの「将棋定跡ガイド」のページです。画面が暗い配色に変わります)

ほかの戦法や囲いは、将棋定跡ガイドのトップ(同じサイトの「将棋定跡ガイド」のページです。画面が暗い配色に変わります)から選べます。

相手が定跡どおりに指してこなかったときの考え方は、相手が定跡どおりに指してこないときで紹介しています。

まとめ

  • 序盤の仕事は「玉を囲う」「攻めの形を作る」「動く」の3つ
  • 囲いの途中に攻めの形に関わる手が入ることはある。必ず守るのは「動く」を最後にすること
  • 四間飛車では、飛車を6八へ振って、空いた2八へ玉を運び、美濃囲いに組む
  • 囲いは玉と飛車を遠ざけて作る。近いと、玉と飛車を同時にねらわれる
  • 居玉のまま動くと、角1枚で王手飛車をかけられることがある
  • どこでどう動くかは相手の形しだい。そこから先は定跡ガイドで

参考

  • 将棋の序盤の戦い方|将棋ルール.com(攻めの準備と囲い、玉と飛車を遠ざけて囲うこと、「攻めは飛角銀桂」、囲いと攻める準備が整ったら攻めること)
  • 美濃囲いの手順と組み方のポイント|将棋ルール.com(美濃囲いの手順が6八飛・4八玉・3八玉・2八玉・3八銀・5八金であること、完成後に端歩を突いて玉の逃げ道を作っておくとよいこと)
  • 四間飛車 - Wikipedia(先手は飛車を6筋に振る戦法であること、振り飛車の中で一般的な戦法で玉は美濃囲いに組むのが一般的なこと、四間飛車の駒組みの例)
  • 美濃囲い - Wikipedia(玉2八・銀3八・金5八で作る囲いであること、横からの攻めに強く、端や上からの攻めに弱いこと)
  • 居玉 - Wikipedia(居玉は一般的に悪形とされること、角による頓死や王手飛車の危険が高いこと、飛車が2四にいるとき1五に角を打たれる例)
  • 美濃囲い|将棋定跡ガイド(美濃囲いの13手の手順、飛車を振って空いた2八へ玉を移すこと)
  • 上記は2026年9月13日に確認しています