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駒落ちで、まず一勝する

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将棋を覚えて対局を始めたものの、何十局やっても勝てない。自分には向いていないのかもしれない。

そう感じている人に伝えたいことがあります。勝てないのは実力の問題ではなく、対戦相手の設定の問題である可能性が高いということです。

将棋には、実力差を埋めるための正式な仕組みが最初から用意されています。それがです。

駒落ちとは

強いほうが駒を減らして対局する、将棋のハンデ戦です。江戸時代から続く正式な制度で、当時は段位そのものが「名人に角を落としてもらって互角に指せるか」といった基準で決められていました。

駒を落とすほうを(うわて)、落としてもらうほうを(したて)と呼びます。先手・後手ではありません。

覚えておくべきルールが1つあります。駒落ちでは、駒を落とした上手のほうから先に指します。 平手とは逆なので、最初は戸惑うかもしれません。

六枚落ちの初期配置。上手(上)は飛車・角・香2枚・桂2枚を落とします

手合割の種類

落とす駒の枚数を「(てあいわり)」と呼びます。落とす順序は決まっていて、・香車・桂馬・銀将・金将の順です。

手合割上手が落とす駒目安の実力差
香落ち左の香車2段級差
角落ち角3段級差
飛車落ち飛車4段級差
飛香落ち飛車と左の香車5段級差
二枚落ち飛車と角6〜7段級差
四枚落ち飛車・角・香2枚8〜9段級差
六枚落ち飛車・角・香2枚・桂2枚10段級差以上
八枚落ち上記+銀2枚—
十枚落ち玉と歩だけ残す—

十枚落ちだと、上手の駒は玉が1枚と歩が9枚。それでも指導者と初心者が指せば、初心者が負けることは珍しくありません。

どこから始めるか

ルールを覚えたばかりなら、十枚落ちか八枚落ちから始めてください。

「さすがにハンデが大きすぎるのでは」と思うかもしれません。実際にやってみると、そう思わなくなります。玉と歩しかいない相手でも、攻め方を知らないと簡単には勝てません。

そして重要なのは、駒落ちには段階ごとに学ぶべきことが割り当てられていることです。ただのハンデではなく、上達のカリキュラムとして設計されています。

手合割ここで身につくこと
十枚落ち駒を前に進めて相手陣に入り、感覚
八枚落ち。銀と飛車を組み合わせて突破する
六枚落ち端攻め。9筋または1筋から崩す
四枚落ち攻めの形を作ってから仕掛ける
二枚落ち大駒を持たない相手をどう攻略するか

八枚落ちで棒銀を覚えると、平手でも棒銀が指せるようになります。六枚落ちで端攻めを覚えると、平手の終盤で端が使えるようになります。駒落ちで身につけたことは、そのまま平手に持ち帰れます。

進め方

1. 負けなくなるまで同じ手合割を繰り返す

10回やって9回勝てるようになったら次へ進みます。1回勝てただけで次に行くと、また勝てない状態に戻ります。

2. 一段階ずつ下げていく

十枚落ち → 八枚落ち → 六枚落ち → 四枚落ち → 二枚落ち → 飛車落ち → 角落ち → 香落ち → 平手。急がないでください。

3. 平手はまだやらなくていい

最初から平手で強い相手と指すのは、泳ぎ方を習う前に深いプールに入るようなものです。

アプリで駒落ちを使う

駒落ちは道場だけのものではありません。将棋アプリの多くが対応しています。

対AI対戦のアプリなら、レベル設定と併用できます。相手の強さを落とし、さらに駒を落とせば、確実に勝てる設定が作れます。

「AIに手加減してもらって勝っても意味がない」と思う必要はありません。勝ち方を体で覚えるための練習です。ピアノで最初から難曲を弾かないのと同じです。

上手が勝つこともある理由

駒落ちは、下手が一方的に有利なわけではありません。上手にも利点があります。

駒が少ないぶん玉のまわりが広く、逃げ道が多い。がないのでの心配がない。そして何より、下手が攻めを間違えれば、渡した駒で反撃されます。

つまり駒落ちは、攻めを成立させる練習として非常によくできています。駒を渡しすぎない、攻め駒の数を足りるようにする、といった感覚がここで身につきます。

まとめ

  • 勝てないのは実力ではなく、相手が強すぎるだけかもしれない
  • 駒落ちは江戸時代から続く正式なハンデ制度。落とすほうが上手、落としてもらうほうが下手
  • 駒落ちでは上手から先に指す
  • ルールを覚えたばかりなら十枚落ちか八枚落ちから
  • 手合割ごとに学ぶ内容が決まっている。八枚落ちは棒銀、六枚落ちは端攻め
  • 10回中9回勝てるようになってから次へ進む