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定跡ページでは、「▲7六歩 △3四歩」のように、指し手を記号と数字で書いています。これが棋譜です。はじめは暗号のように見えますが、覚える決まりはそれほど多くありません。

この記事では、先手と後手の記号、マス目の数え方、駒の書き方、「成」「不成」「打」「同」の意味を順に説明し、最後に短い棋譜を実際に読んでみます。駒の動かし方をひととおり覚えて、これから定跡を学びたい方に向けた内容です。

内容は2026年9月13日に、末尾の「参考」にある出典で確認したものです。

棋譜とは何か

棋譜(きふ)は、対局で指された手を、1手目から順番に書き留めた記録です。記録が残っていれば、対局が終わったあとでも、同じ将棋を盤の上でそのまま再現できます。

日本将棋連盟のサイトや新聞・雑誌・将棋の本では、駒の位置と動きを、2つの数字を組み合わせた「符号」で表しています。棋譜はこの符号を使って書かれます。

棋譜の1手は、次の部品でできています。

つまり「▲7六歩」は、「先手が、7六のマスに、歩を動かした」という意味です。このサイトの定跡ページも、すべてこの書き方でそろえています。

▲と△ — 先手と後手の記号

▲は先手、△は後手を表します。先手は最初に指す側、後手は2番目に指す側です。盤面の図では、先手が手前、後手が向こう側に描かれます。

将棋は交互に指すので、棋譜も「▲ △ ▲ △……」と交互に並びます。

本やサイトによって☗☖が使われていても、意味は同じです。

筋と段 — マス目の数え方

将棋盤は縦9列・横9列の81マスです。どのマスかは、「筋」と「段」の2つの数字で表します。

書く順番は筋が先、段が後です。「7六」なら、右から7列目・奥から6段目のマスです。読み方は数字をそのまま読んで「ななろく」です。

この数え方は、後手が指した手でも変わりません。いつも先手側から見た向きで数えます。たとえば、後手の歩ははじめ三段目に並んでいて、3三の歩を1つ進める手は「△3四歩」と書きます。

なお、記録係が速記するときや、個人のメモでは、段も算用数字にして「76」と書くことがあります。

駒の書き方と略称

棋譜では、駒の名前を1文字に縮めて書きます。

成った駒には、成ったあとの名前があります。

金と玉は成れません。すでに成っている駒を動かしたときは、成ったあとの名前で書きます。たとえば、竜が3二に動けば「▲3二竜」、と金なら「▲3二と」です。

「成」「不成」「打」「同」の意味

ここまでの「だれが・どこへ・どの駒を」に、場面によって言葉が付け加わります。

成(なり)

駒は、相手の陣地(相手側から数えて3段目まで。先手の駒なら一〜三段目、後手の駒なら七〜九段目)に進んだときや、相手の陣地から出るときに、裏返して「成る」ことができます。成ったときは、駒の名前の後ろに「成」を付けます。

例:「▲2三歩成」… 先手の歩が2三に進んで成った。

不成(ならず)

成れる場面でも、成らないことを選べます。これを「不成」といい、棋譜では駒の名前の後ろに「不成」を付けます。

例:「▲4四銀不成」… 先手の銀が4四に動き、成らなかった。

打(うち)

取った相手の駒は「持ち駒」になり、自分の番に、原則として盤の好きな空いているマスへ置けます。これを「打つ」といいます。

持ち駒を打った手も、ふつうは「▲4四銀」のように場所と駒だけを書きます。「打」が付くのは、盤の上にある同じ種類の駒も、そのマスへ動ける場合だけです。たとえば、盤上の金が5六に動ける局面で持ち駒の金を5六に打ったときは「▲5六金打」、盤上の金が動いたときは「▲5六金」と書き分けます。

同(どう)

直前に相手が指したマスへ続けて指すときは、筋と段の代わりに「同」と書きます。そのマスには相手の駒があるので、「同」はその駒を取る手です。

例:「▲2四歩 △同歩 ▲同飛」… 先手が歩を2四に突き、後手がその歩を歩で取り、先手がその歩を飛で取り返した。

「右」「左」などが付くとき

同じマスへ動ける同じ種類の駒が2枚あるときは、どちらを動かしたのかを「右」「左」「上」「引」「寄」「直」で書き分けます。たとえば、最初の配置から金を5八に上げる手は、4九の金なら「▲5八金右」、6九の金なら「▲5八金左」です。右と左は、指した側から見た向きです。細かい決まりはありますが、まずは「どちらの駒かを区別するための印」と覚えておけば十分です。

実際の棋譜を読んでみる

最後に、「筋違い角」という戦法の出だしの8手を読んでみます。できれば盤と駒を用意して、最初の配置から1手ずつ動かしてみてください。

▲7六歩 △3四歩 ▲2二角成 △同銀 ▲4五角 △6二銀 ▲3四角 △3二金

  1. ▲7六歩 … 先手が、7七の歩を1つ進めて7六へ。8八の角の通り道が開きます。
  2. △3四歩 … 後手も、3三の歩を3四へ進めて、角の通り道を開けます。
  3. ▲2二角成 … 先手の角が2二まで進んで後手の角を取り、相手の陣地に入ったので成って馬になりました。
  4. △同銀 … 後手が、直前に先手が指した2二へ銀を動かして、馬を取り返します。
  5. ▲4五角 … 先手が、持ち駒にした角を4五に打ちます。盤の上に4五へ動ける先手の角はないので、「打」は付きません。
  6. △6二銀 … 後手が、7一の銀を6二へ上げます。
  7. ▲3四角 … 先手の角が3四へ動き、後手の歩を取ります。
  8. △3二金 … 後手が、4一の金を3二へ上げます。

「成」「同」、そして「打」が付かない打つ手まで、この記事で紹介した書き方がひととおり出てきました。この戦法の狙いは、筋違い角のページで盤面を動かしながら確認できます。

まとめ

棋譜の1手は「▲か△」「筋と段」「駒の略称」でできています。筋は右から算用数字、段は奥から漢数字で、いつも先手側から数えます。そこに、成ったら「成」、成らなかったら「不成」、盤上の駒と区別が必要な打つ手には「打」、直前と同じマスなら「同」が付きます。

ここまで読めれば、定跡ページの手順はほとんど追えるはずです。わからない表記に出会ったら、またこのページに戻ってきてください。

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コマドリの入門コースにも入っています

この記事は、初心者向けの読みもの「コマドリ」で、将棋をはじめる人に順番に読んでもらう7本の記事にも選んでいます。コースでは、反則を覚えたあとにこの記事で棋譜の読み方を知り、そのあと対局のマナーへ進みます。

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参考